なんで子どもは好き嫌いが多いのか? 子供が野菜や果物をたべない理由を考えてみる

子どもの食事,子育て

かわいいわが子に食べさせようと思ってせっかくご飯を作ったのに子どもが食べない。食べてくれない。

本当にがっかりします。

「せっかくあたしががんばって作ったんだから食べなさい!」と言いたくもなります。

どうして小さい子って食べてくれないのでしょうか?

じつは考えもしなかった理由が隠れていることがあります

 

子どもがせっかく作ったご飯を食べてくれなくて悲しい
  photo by TossanillustAC

 

 

子どもの味覚はめちゃくちゃ鋭い

子どもの味覚はものすごく敏感です。

小さい子になればなるほどほんのわずかな味の違いを感じています。

大人は平気で食べているのに子供は「苦い!」と言って食べるのをやめたりします。

大人は「これで苦いの?どこが⁈」と言って不思議がります。不思議でしょうがありません。だから納得いきませんが、じつは食品に含まれている成分を敏感に感じ分けている可能性があります

 

 

赤ちゃんは塩味をものすごく感じる

こんな実験があります。授乳中の赤ちゃんがいます。この子たちに協力してもらい、いろんな濃さの塩水を飲ませました。(ひどい実験ですね…)

 

大人はふつう、1リットルの水に塩が小さじ1ぐらいは入っていないと「しょっぱい」と感じられません。それよりも少ないと「無味」としか感じないのです。

 

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ところがこの実験の結果、赤ちゃんは大人の半分の量でも判別できることがわかりました(飲ませると顔をそむける)。

 

赤ちゃんは酸っぱい味にも敏感

この実験では酸っぱい味のする水でも同じことを試しています。

ワインを飲んでみると酸味を感じますが、同じ酸味成分を水に溶かし、赤ちゃんに飲ませたのです。(えぐい実験です)やはりこれも赤ちゃんは大人の半分の濃さで嫌な顔をするという敏感さを見せます。

 

 

 

子どもは味センサーが多い

 なぜこんなに敏感なのでしょうか?

 

ヒントは子供の舌にあります。

 

私たち人間の舌には味を感じる味覚センサーが備わっています。

 

味蕾(みらい)です。

 

鏡で舌をよーく見たことがあるでしょうか。表面に無数のつぶつぶがあることに気づきます。ここに味センサーが集中しています。ほっぺたの内側とか唇にもあります

 

じつは味蕾(みらい)の数は大人になると減っていきます。歳をとるとさらに減って、味が感じにくくなります。

 

味蕾の数が一番多いのは子供の時期で、数で言えば大人の1.3倍以上です(味蕾の数は成人では7500個、子どもでは10000個とも言われます)

 

お年寄り乳幼児とでは、さらに大きく開きます。子どものころ、じいちゃん・ばあちゃんの食べているものが、なんか好きじゃなかった記憶はありませんか?

 

味覚のちがいを考えればこれも自然なことかもしれません。高齢者ほど味を感じにくくなっていますので苦み・酸味、塩味すべてにおいて濃い味つけを好んでしまうのでしょう。

 

(ちなみに私はじいちゃん子・ばあちゃん子でしたが、彼らがよく食べていた「なす漬け」の真ん中のやわらかいところだけを食べ、外側のカタい皮とかヘタの近くとかはすべて残していました。それをじいちゃん・ばあちゃんが食べていました。)

 

 

「スーパーテイスター」と「ノンテイスター」

 ところで自分の舌がどうなっているか、他人の舌としげしげと比較する機会はまずありません。ここに盲点があります。

 

じつは舌のつぶつぶ(乳頭といいます)の数は、人によって違います。しかもかなり違います。

 

“つぶつぶ”には味センサーがたくさんついていますから、数が多い人ほど味には敏感です。苦みなども強く感じるので好き嫌いが多いということにもつながります。

 

これは遺伝によるものです。生まれつきですのでどうしようもありません。

 

驚いたことに、一部の人々はある種の苦みを感じることができません。

 

ブロッコリーとかキャベツなどの苦みの一因になっているPTCというもの(フェニルチオカルバミド)があります。

 

この苦み成分を染みこませた紙の切れっぱしをクラスのみんなにしゃぶらせます。「苦かった人―」と手をあげさせると、あげる人とあげない人に分かれます。

 

あげなかった人ははじめからこの苦みを感じる機能が体に備わっていません。遺伝によって決められています。これらの人々はノンテイスター(“non-taster” :)と呼ばれています。"taster"は、ワインの利き酒とか紅茶の鑑定とか味の評価をする人のことです。

 

反対に味に対して敏感な人もいます。スーパーテイスターと呼ばれ、味にうるさい人です。苦みや酸味はもちろんのこと、甘すぎてもダメです。アメリカでは4人に1人はこのスーパーテイスター、ということになっています。人種によって割合はかなりちがいます。

 
   photo by TossanillustAC 

味に「鈍感」なのは悪いこと?

ちなみに日本ではノンテイスターの人々について「味盲」などという言い方で呼んでいます。この言葉から、なにかわるいことのように感じる人もいるかもしれませんが、別にそんなことはありません。苦いものを食べたほうが病気が治るということだってあるわけです。

 

たとえばこんなことがあります。

 

ある子どもは病気の特効薬が苦すぎて飲めません。飲んでも吐き戻してしまいます。せっかく特効薬があるにもかかわらず、病気は悪化してしまい、けっきょく入院するハメになりました(うちの子です)。これがもし薬を飲めていたらすぐに治ったでしょう。

 

これはなにも薬局で出される薬に限ったことでなく、自然に食べているものでもふつうにあります。

 

最近ではタピオカの原料としてあらためて注目されているキャッサバですが、これも毒抜きしないと食べられない作物の一種です。

 

キャッサバ

  キャッサバはイモの一種  photo: falco(Pixabay)

 
西アフリカでは苦いキャッサバが食べられていますが、この苦みにはマラリアを防ぐ効果があるとされています。西アフリカに住む人々はこのキャッサバを食べることができたおかげで病気になりにくいのです。

 

というのも、じつはこの地域の人々はほとんどの人が遺伝的にキャッサバの苦みを感じにくい体質です。苦いイモを食べられたおかげで、生きのびてきたと考えられています。

  

敏感な人の舌は見た目もちがう

ちなみにノンテイスターとスーパーテイスターの舌を比べてみると、味蕾(みらい)の数にはっきりとした違いがあります。

 

ある人の舌には味蕾のつぶ(乳頭)がまばらにあり、ある人の舌はびっしりと味蕾でおおわれています。

 

この画像は日本科学未来館のホームページで見ることができます。(※他人の舌の画像が出ます。)

 

https://www.miraikan.jst.go.jp/event/docs/20081121_01_02.pdf#%5B4%2C%7B%22name%22%3A%22XYZ%22%7D%2C0%2C841%2C0%5D

 

 このように、そもそも生まれつき味の感じ方には個人差があります。同じキャベツやブロッコリーを食べても、ある子どもが感じている味と、私たちが感じている味は違うかもしれません。

 

もちろん自分がふつうの味覚の持ち主だったとしても、子どもが「超味覚」の持ち主(スーパーテイスター)ということもありえます。そのばあい、子どもは大人には感じられない苦みや酸味を感知しているでしょう。親がノンテイスターで子どもがスーパーテイスター、という場合も考えられます。

  

こういうことは親子の間に限らず夫婦の間、カップル同士などでもごく普通に起きていることが想像できます。

 

なんで子どもの味覚は敏感なの?

ところでなぜ子供は味に敏感なのでしょうか?

  

最大の理由は、やはり毒をさけることにあります。

 

自然にある毒の多くには苦みがあります。子どもは内臓が未熟ですのでいったん体の中に毒が入ってしまうと無毒化するのに大人の何倍も時間がかかります。

 

ですから子どもにしてみれば少しの毒でも入れたくないわけですね。(もちろん子どもがそんなことを意識しているわけではありませんが)反対に大人になればからだの代謝能力が上がってきますから、そんなに敏感にならなくてもいいわけですね。

 

コーヒーは苦いので子どもは嫌がりますが、これも自分のからだを守るための反応だといえます。

 

カフェインはアルカロイドの一種で、大量にからだに入れますと死に至ることもあります。ですが適切な量をとるぶんには風邪の症状をやわらげるということで多くのかぜ薬にも入っています。

 

ちなみにコーヒーや緑茶の苦みのもとはもちろんカフェインです。じつはカフェインの処理能力にも個人差があり、やはりこれも遺伝によってある程度決まっています。つまり、口から入ってくる毒(薬)を無毒なものにする力にもはじめから個人差があるということです。カフェインが効きやすい子と効きにくい子がいます。

 

カフェインが睡眠に悪影響を与えることは今さらいうまでもないでしょう。カフェインはそのほかにイライラを増したり、血のめぐりや血圧、心臓のはたらきなどにも影響をあたえます。

 

緑茶や紅茶、赤ワインの渋みのもとはタンニンですが、これも見方によっては毒です。

 

お茶はチャノキ(お茶の木)から摘んだ葉で作りますが、この葉っぱをムシャムシャ食べて育つ虫がいます。この虫に消化吸収障害を起こさせるために、葉に毒が仕込まれています。これがタンニン(カテキン)です。ポリフェノールの一種でもあります。

 

タンニンは柿とかバナナにもたくさん含まれます。とくに種のまわりをかじったりするとシブくてまずいですね(感じない人もいますが)。植物としても「種だけは食わないでくれ、」と言いたいのでしょう。

 

じっさい、大人でもタンニンをとり過ぎると腸の内壁に刺激となり、便秘などの人にはマイナスの作用が起きてしまうことがあります。

 

※腸の内壁で炎症が起きているばあい、タンニンの同じ作用によって炎症が和らぐ・下痢がおさえられる効果もあります。その意味で、タンニンは整腸剤としても利用されています。(ただ、下痢で毒素を体外に排出していようとしているときに下痢を止めることについては疑問ですが。)

 

ちなみに緑茶を飲みながら食事をすると血糖値がゆるやかにあがるということで注目されています。逆にいえば糖分の消化吸収がスムーズにいかなくなるということでもあります。

 

たいがいの植物は葉っぱとか種とかを食べられたくありませんから、なにか対抗策を持っています。それらは食うとまずいのです。たとえばそれが腸の内側の粘膜に異変を起こしてしまうポリフェノールだったり(タンニン)だったりするのです。

 

 食ってまずいぐらいならまだましかもしれません。コアラが食べるユーカリは毒のあることで有名です。

 

ユーカリは葉に毒があって、コアラはこれを体の中で解毒することができるためにユーカリの葉を独占できています。そのかわり解毒に時間がかかるので木の上で長い間ぼーっとしているそうです。

 

 私たちも二日酔いになると復活するまで時間がかかりますが、コアラも同じようなものかもしれません。ちなみにアルコールを解毒する過程で生じるアセトアルデヒドは猛毒で、急性中毒で運ばれる人が絶えないのは今さら言うまでもありません。

 

ユーカリの毒を解毒するコアラ
  photo by TossanillustAC

野菜も食べられるのはイヤ

 このようにちょっと見ただけでも、植物と動物・生き物たちとの長い葛藤の歴史が続いてきたことがわかります。

 

植物学者によれば、植物の進化の歴史は、なんとか食べられないように植物が作り出した毒を、生き物が解毒して食えるようになる、するとまた新たな毒が作られる…というくり返しの歴史でもあります。

 

《アボカドの猛毒を解毒する“ヒト”》

ちなみに人間も猛毒を解毒する能力を持っています。

アボカドの毒を解毒する仕組みを持っているのは人間ぐらいで、ほかの動物が食べるとアウトです。

 

 

こんなふうに考えてくれば、子どもがいろんな野菜を嫌がるのも自然なことのように思えてきませんか?

 

子どもはたんに植物の防御に反応しているだけとも言えます。ある意味では、人間も自然の一部なのです。

 

じっさい、毎年毒草を山菜ととり違える事故はたくさん起きています。私が子どもの頃はみんな普通に食べていたキノコが、今では「毒があるから食っちゃいけない!」ということになっています。おそらく、新たな毒を獲得したのでしょう。(キノコは植物ではありませんが‥‥)

  

しょっぱ過ぎて焼きそばを食べられなかった女性

ところでお話ししたように、赤ちゃんは大人よりもかなり敏感に塩分を感じ取ります。塩分は毒ではないのに、なぜでしょう。

 

余計な塩分をからだの外に出してやるのは腎臓の役目ですが、赤ちゃんの腎臓はもちろんまだまだ小さなものです。子どもは自分の力にあった量の塩分をとる能力をそなえています。

 

ちなみに腎臓の処理能力と塩味の感じ方というのは、かなり密接に関係しているようです。

 

ある女性はある日のお昼に“焼きそば”の出前を頼みました。届いた焼きそばを一口食べた彼女の感想はざんねんながら「おいしい!」ではありませんでした。「ウッ‼ しょっぱすぎて食べれない…」そう思った彼女は同僚に味見を促します。ですが同僚たちの反応は誰に食べさせても「べつにふつう」でした。

 

2週間後、入院した彼女は生死の境をさまよいます。風邪だと思って放置されていた彼女の腎臓には病原体が入りこみ、重篤な腎炎に進行していたのです。

 

一命はとりとめましたが彼女は30年以上たった今も週に一回病院に通い、何種類もの薬を飲みつづけています。

 

焼きそばを食べたとき、すでに彼女の腎臓は悲鳴を上げ、ふつうの塩味すら受けつけなかったのです。じつはこの入院した女性というのは、筆者の実の母親です。

 

味覚にあきらかな異常があったときは、病院へ直行するようおすすめします。

 

今のはちょっと極端な例でしたが、健康な人でも疲れていれば塩味を濃く感じるといいます。たとえば筆者のよく知る人で日本料理の親方も、そのへんには注意しているそうです。疲れによって腎臓の機能が下がると、ふつうの人でも敏感に塩辛さを感じるということでしょう。

 

ちなみに国の発表を見ますと、子どもが大人と同じ量の塩をとれるようになるのは、小学校を卒業するぐらいからです。幼い子ほど塩分を押さえる必要がありますが、実態としては子供も塩分をとり過ぎてしまっているようです。

 
<乳幼児の食事が15年後の健康にまで影響>

乳児期にどれだけ塩分をとったかによって、15年後の血圧にまで影響するという研究もあります。減塩ミルクや減塩の離乳食を与えられた赤ちゃんは、15年経っても血圧が低いというのです。

事実だとすれば、子育ての責任を感じる数字です。

 

 

あせる必要はない

「なんでこの子はこんなにわがままなの~⁈」と思ったとき、その子はもしかすると、「スーパーテイスター」かも知れません。ワインのソムリエとかバリスタになる素質があります。(お子さんが素直にベロを見せてくれるといいのですが。)

 

世話をする親の身としてはたいへんですが、ひとつ救いは子供もいずれ大人になるということです。

 

大人になるということは味蕾(味を感じているばしょ)の数も減りますし、内臓もしだいに完成し代謝能力もできあがります。つまり解毒する力が高まるということです。敏感である必要が、少しずつなくなっていくということでもあります。

 

だから今まで食べられなかったチョコレートが食べられるようになった、というようなことも起こります。(ちなみにチョコレートには「テオブロミン」というカフェインによく似たものが大量に入っています。またカフェインも入っています)筆者の知るある女の子は、小さい頃からチョコレートが食べられませんでしたが、10歳ごろから急に食べられるようになったそうです。

 

大人になっていろいろなものが食べられるようになるというのは、このようにちゃんと背景があるのです。

 

苦手なものがあっても問題ない

 またたとえば子どもが野菜をまったく食べなかったとしても、栄養があるのは野菜だけではありません。

 

ビタミンやミネラル(無機質)というと野菜にしか入っていないような気がしますが、もちろんそんなことはありません。

 

子どもは意外に海藻は食べたりします。わかめごはんとか海苔(のり)とかはだまってムシャムシャと食べたりします。そして海藻には意外と栄養があります。

 

農家の出身の人は実感があるかもしれませんが、自家用に作った野菜と売っている野菜とでは、天と地ほどの差があると感じることがあります。

 

肥料のやり方や畑の土壌などの条件によって野菜の味も左右されるからです。ミネラル分にも差があります。じっさいに現代のホウレン草と昔のホウレン草では鉄分の量が変わっており、文部科学省が作成している最新の食品成分表ではだいぶ減っているようです。

 

丹精込めて作っても二束三文で買いたたかれることがわかっているので、農家もやる気をそがれています。これはテレビや新聞などで表立っていうことはありません。でも農家の話をよく聞いていると言外に表れていることがたまにあります。

 

このようにお店で味がスカスカの野菜によく出くわす一方で、海藻に含まれるミネラルは安定しています。

 

※海藻が育つのは畑ではなく母なる海。わかめを養殖するからといって海に肥料をまくわけではありません。海水のミネラルはどこもだいたい一定ですので、海水で育つ海藻たちもやはりミネラルは安定してバランスよく吸収しています。

 
↓海苔の実力についてはこちら

qtaro-kujo.hatenablog.com

 

 肉や魚もいろいろな栄養を持っている

肉・魚というと100%たんぱく質でできているように錯覚しそうですが、もちろん違います。

 

 鉄分などはホウレン草とかの野菜に含まれる「非ヘム鉄」よりも、肉とか魚の中に入っている「ヘム鉄」の方がだんぜん吸収しやすいとさえ言われます。

 

また鉄が欲しければ「鉄卵」を鍋に入れてもよく、カルシウムが欲しいならあさりやしじみの貝殻からだって染み出るのです。

 

肉や魚からとれるビタミン類だってたくさんあります。もし肉が嫌いでもビタミンB群とかビタミンCはみそ汁・スープに溶け込みます。ビタミンB(群)とビタミンCは水に溶けるタイプのビタミンです。たとえばジャガイモのみそ汁を作ればその中にビタミンCがとけています。ジャガイモは意外にビタミンCが多い食品です。

 
※一般にはビタミンCは熱に弱いと言われますが、実際に加熱で失われるのは一部です。加熱調理しても大半は保持されます

 

そもそも豚や牛は牧草とか穀物をエサに育ち、魚なら海藻か海藻を食べて育った微生物や小魚を食べています。つまり元をたどれば大地や海に行きつきます。

 

動物や魚たちがそれらのミネラル・栄養素を受け継いでいるのはもちろんですが、動物も体内でビタミンをはじめとするさまざまな栄養を合成しています。

 

腸内細菌がビタミンを合成し、人間にくれている

そして、体内でさまざまな栄養素を合成しているのは人間も例外ではありません。より正確には腸内細菌がお腹のなかでビタミンを作っています。ビタミンB群やビタミンKです。これはかなり昔から知られているようです。

 

ですからたとえば抗生物質を飲んだりして腸内環境が激しく乱されると、大人でもビタミンの欠乏症が起こす可能性があります。このように私たちは食事から栄養を取るだけでなく、腸内細菌が作り出したさまざまな栄養を利用しています。

 

ですから食事を大切に考えるのと同時に、お腹の調子をととのえるのも同じように大切なことなのです。

 

 栄養をとらせようと思って、いろいろと野菜を入れたスープを作って食べさせます。すると決まって一口、二口くちをつけて残してしまいます。

 

「せっかくつくったんだから食えよ…」

 

そう思うのですが、いざ自分が食べてよく味わってみると確かにえぐみとか雑味が混じっている。野菜の臭いとか、味が混じっているのがわかるのです。

 

たとえばある子どもはみそ汁が苦手で絶対にはしをつけません。理由を聞いてみると、味噌が嫌いだそうです。(筆者の子どもです)

 

わがままだなぁ…と思いますが、そういえば自分も子どものころは正直、お味噌が苦手でした。きゅうりにつけて食べる生みそやみそ汁、どうしてもあの臭いが苦手だったのです。

 

今ではなにも考えず食べています。でも味噌の臭いがきついな、と思う時もあります。

 

みそはそもそも大豆などにカビが生えてできたものです。だから、生理的に「イヤだ」と思うのも自然なことです。(もちろん、味噌は無害です。)

 

<みそはカビが作る?>

みそは麹菌(こうじきん)のはたらきによって作られます。麹菌はコウジカビというカビの一種です。醸造蔵の梁(はり)などに積もっていて、見た目でほかのカビと区別するのは困難です。

 

また、家族も(もちろん本人も)気づかないけど食物アレルギーだった、ということもあります。たとえば牛乳や小麦も立派なアレルギーの原因食物です。

 

 <アレルギーの原因になりうる食品の一例>

  • 鮭、ソーセージ
  • みそ、しょうゆ、ごま
  • トマト
  • りんご、バナナ、メロン、キウイ、モモ

 など。

 アレルギーとは別に、食物不耐症というものもあります。(例:乳糖不耐症)

 

 

みんな昔は子どもだった

苦手なものが多いと親として心配になるのは当たりまえです。そんな親の気持ちをしり目に、子どもは案外、元気に過ごしていたりします。

 

食べものの好き嫌いがあるということは、味覚がしっかりしていることの表れでもあります。「スーパーテイスター」を納得させるのはかんたんなことではありません。

 

ある食べ物が苦手だとしても、それに代わるものはいくらでもあります。豚肉が食べられなくても、豚汁のスープにはさまざまな栄養がとけ出しています。

 

そして子どもはいつか大人になります。少しずつ、ひとつずつ、苦手なものが減っていきます。また、大人でも苦手なものは一つや二つあります。食べて「まずいな、これ」と思う時だってあります。

 

しかも、私たちが知らないうちに腸内フローラによって作り出されている栄養素もあります。お腹を大切にしてあげましょう。

 

ほんとうに、子どもを育てるのはたいへんですね。
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  photo by TossanillustAC