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見すごされている、もしくは言ってはいけない2、3のこと

下痢・腹痛、本当の原因はこれだった⁈――見過ごされ続ける「見えない油」パーム油とは

カレーポテトフライアイスチョコレートカップ麺インスタントラーメンケーキ、ドーナツ・・・

 

こういったものを食べるとなぜかお腹痛くなったり、気持ち悪くなってしまう——心当たりありませんか?

 

じつはこれらの食品に共通して使われている原料があります。

何でしょうか?


 

ーーこたえはパーム油です

 

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  アブラヤシの果実;photo by Pixabay

 

パーム油とは、アブラヤシというヤシの木の一種からとれる油のこと。近ごろ注目されているココナッツオイルとは別のものです

 

私事ですが、自慢じゃありませんけど筆者のばあいどれも食べすぎるとお腹痛くなるものばかり

 

この記事では、この耳なれない「パーム油」というのはいったい何なのか、そしてどんなふうに私たちのお腹の健康に影響しているかといったことをお話ししてみたいと思います

 

 

 

気づかないうちにみんなパーム油を食べている

 

「パーム油?なんだそれ?」というかたも多いかと思いますが、それもそのはずなんです

 

私も家庭用の「パーム油」がお店に並んでいるのを一度も見たことがありません。コンビニで買ったお菓子のハコのウラを見ても「パーム油」なんていう字を見ることは、まずありません。

 

イチゴのショートケーキを買っても「このケーキはパーム油を使用しています」なんてことは間違っても書いていません

 

ですが。わたしたちは目に見えない形で日々、この油を口にしています。

 

気づかないうちにとっているので「見えない油」とか「隠れ油」とか言う人もいます。わたしたちはパーム油を年に4㎏使っているとも言われます。日本人一人当たりが使っている量が、です。

 

なぜそんなに使っているのに、私たちはそのことに気づいていないのでしょうか?

 

じつは、食品の原材料名に「パーム油を使っています」と書く必要はありません(メーカーというのはなぜかそういうことを表に出そうとはしないのですね)

 

その代わり、お菓子やカップ麺のパッケージを見ると、原材料名に「植物油脂」とか、「植物油」と書いています。こう書いていればいい、ということになっているのですね。「パーム油」とはっきり書いてあるケースはまれです。法的にも「〇〇の油と■■の油を使ってます」とまでは書かなくていいことになっています

 

もちろんはっきり書いてもいいのですが、「植物油」や「植物油脂」と表現するほうが圧倒的に多いのです。ですからパーム油もその中に隠れているわけです。

 

 

もう一つ、興味深い数字があります。日本で一番たくさん使われている油は、「菜種油(なたね油)」ですが、その次に多く使われている油はなんだと思いますか?

 

オリーブオイルでしょうか?ごま油?サラダ油でしょうか。

 

じつはパーム油です。

 

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 Picking up the fruit bunches by macchi: マレーシアにあるアブラヤシの大農園

 

日本で一番消費されている油の1位は菜種油、2位パーム油、3位は大豆油という順番になっています。

 

家庭用にスーパーなどでよくみかけるオリーブ油やごま油はどちらもパーム油の10分の1にも満たない数字です。オリーブオイルやごま油の10倍以上のパーム油を、私たちはふだんから使っていることになります(菜種油が約107万トン、2位パーム油がおよそ70万トン、3位は大豆油が約50万トン、オリーブ油・ごま油それぞれ約5万トン、㈳日本植物油協会)*1

 

実感ありますか?

 

もちろん家で料理するときにパーム油を使っている人はいないでしょう。スーパーの売り場で幅をとっているのはだいたい「キャノーラ油」「サラダ油」「オリーブ油」とかですから、おおかたの人はこういったものを使っているはずです

 

キャノーラ油・大豆油が1位と3位というのはなんとなくわかります。手ごろな値だんで売られている「キャノーラ油」はなたね油の一種です。ですからなたね油が1位と言われても不思議はありません

 

それから「大豆油」というのも家庭で使ったことはありませんが、大豆油はサラダ油にブレンドされていることがよくあります。なたね油と大豆油のブレンドというのはサラダ油の定番です。

 

それから業務用では天ぷらをあげるときに大豆油を使っているお店もあります。ちなみに私が昔はたらいていた和食店でも天ぷら油は大豆油の一種類だけで揚げていました

 

ですから大豆油が3位にきていても、さほど不思議ではありません

 

ですが2位、パーム油はどうでしょうか?

 

自分では使ったおぼえがないのに、どうして2位にくるのでしょう?

 

じつは工場やお店で使われているからです

 

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  Pixabay

 

たとえばインスタントラーメンを作っているのはラーメン工場です。ラーメン工場ではラーメンを作るとちゅう、油であげるという段階があります。このとき、揚げ油としてパーム油が使われています*2

 

あるラーメン会社の社長などはあるインタビューの中でパーム油のことを「インスタントラーメンを作るのにはかけがえのない油だ」とまで言っています。ただし、できあがった商品の原材料には、なぜか具体的な油の名前が明記されることはありません。「植物油脂」とだけ書かれるだけです

 

またチョコレートやアイスを作るときにも使いますし、ホイップクリームの原料にもなっています。・・・ということはケーキにもたっぷり使われています

 

それだけではありません。外食先でもパーム油が使われています

 

たとえばファーストフードはどうでしょうか。某・有名ファーストフードチェーンの主力商品はポテトフライですが、このポテトをフライするときに使っているのはパーム油と牛脂です。この二種類をブレンドして揚げていることがホームページに紹介されています。

 

牛脂というのは牛からとれた脂(あぶら)のことです。身近なところではスーパーの焼き肉売り場に四角い真っ白なかたまりを見ますが、あれも牛の脂です。「ヘット」と呼んでますよね。

 

じつは牛の脂は揚げ油にとても向いています。高温で加熱しても傷みにくい油ですので、長いあいだファーストフード業界で愛用されてきました

 

 

パーム油とはどんな油なのか

 

ところではじめにお話ししたとおり、私はこのパーム油が入った製品を食べすぎるとすぐに下痢をしたりお腹が痛くなったりします。ちょっとでも食べすぎるとお腹が痛くなってしまうのです。

 

サラダ油とか、オリーブ油とかならぜんぜん平気なのです。なのにパーム油との相性だけがなぜかよくない。

 

このことに私が気づいたのは、じつはごく最近のことです。40年近く、わけもわからず「なんか今日腹痛いなぁ…」とか、インスタント麺を食べた後に「なんか気持ち悪くてムカムカする・・・」とか感じてきたのです。

 

それまでは「たまたま調子が悪かったんだろう」という程度にずーっと見過ごしてきました。

 

ところで、これが私だけの問題だったら別にこんな記事を書く必要はありません。個人的にはずいぶん苦しみましたが、自分が気をつければいいだけです。

 

ですが、残念ながらそういう話ではないでしょう。

 

調べてみると、やはりパーム油がお腹(腸)にダメージを与えているらしいことを裏づける情報がザクザクと見つかってきます

 

なにか世の中の暗部をのぞくようで恐い気もしますが

 

とにかく記事をすすめます

 

少なくとも、パーム油の入った食品を食べるとお腹のちょうしを崩す人間がいる、というのは事実です

 

そのちょうしを崩す人というのは、ほかでもない私なのですが…

 

あなたや、あなたの大切な人はどうでしょうか。

 

 

パーム油は実質的に植物油ではない

 まず、はっきりしていることがあります。それは「動物のあぶら(脂)をとり過ぎるとお腹にはよくないよ」ということです。

 

なぜ急に動物のあぶらが出てくるのでしょうか。

 

じつはパーム油は植物からとれるのにもかかわらず、ひじょうに動物のあぶらと似ています。それどころかむしろ、動物のあぶら以上に動物のあぶらの特徴をもっています

 

 その特徴というのは、一言でいえば「ほっとくと白く固まる」ということ、つまり固形の油脂だということです。これが動物性の油脂にほぼ共通している特ちょうです(融点が高い)。

 

たとえば豚のしょうが焼きを作ったことはありますか?食事をおえてそのお皿を洗うころにはアブラが真っ白く固まっています。おいておいただけですが固まってしまいます。

 

常温で固まった、ということです。オリーブオイルとかサラダ油といった植物性の油では、ふつうこういったことはありません。

 

 

アブラをとりすぎると腸で何が起きるか

ところで「動物のあぶらを食べすぎるとよくない」と言いましたが、なぜ動物のあぶら(動物性油脂)がお腹にわるいのでしょうか。

 

このことは、私たちが食べ物を消化するしくみとかかわっています。

 

私たちのカラダは、食べ物をたべるとさまざまな消化液を出して食べものを消化しようとします。だ液や胃酸などは、食べたものを消化し分解してくれています。

 

そして胆汁たんじゅう)もこの消化液の一つです。

 

胆汁は、肝臓(かんぞう)で作られている黄色っぽい液体です。アブラを消化するときに、ひじょうに大切な役目をはたしています。

 

食べたアブラが胃から小腸に送られてくると、小腸のはじまりのあたりに胆汁が流れ込みます。ここでアブラと混じりあって、アブラを分解するのに役立ったり、アブラが腸から吸収しやすくするのに貢献します(乳化)

 

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 このように小腸でアブラの吸収に大切な役目をになっているのが胆汁(たんじゅう)です

 

ところが動物の脂肪をとりすぎると、腸の中に胆汁(たんじゅう)が出過ぎるということがおきます

 

これがまずいのです。

 

胆汁は、ふだんはほとんど大腸に流れこむことはありません。小腸のおわりの方で大部分が回収されているからです(人体の神秘ですが、私たちのからだのなかではこういうことがおこなわれています)

 

ですが胆汁が出すぎると、一部が大腸にまで流れていってしまうのです。胆汁は大腸に入ると腸内細菌のはたらきで有害なものに変わり、腸を傷つけている(二次胆汁酸・DCA)ということが、ラットでの実験でわかっています。

 

同じことが同じことが、人間の体でも起きているかもしれないと考えられています*3

 

最終的には悪性の腫瘍(しゅよう)が発生しやすくなります。大腸に悪性腫瘍ができやすくなるということです。

 

ここ何十年かで、日本人の大腸にできる悪性の腫瘍(=つまり「がん」ですが)は急激に増えたといわれていますが、その原因は食生活の欧米化にあるとされています。「食生活の欧米化」とは、ひとつにはそれまで魚や野菜中心だったものが肉中心の食事に変わってきたということです

 

食事が欧米化して日本人の大腸がんがふえたと言われるのは、じつはいまお話ししたような胆汁(たんじゅう)のはたらきが深く関係していると考えられています*4

 

また仮に腫瘍ができなかったとしても、出すぎた胆汁は腸管を刺激し下痢の原因になります。どちらにしても嬉しいことではありません

 

ところで先ほどもお話ししたとおり、パーム油は植物からとれる油でありながら動物の脂肪とおなじ特徴をもっています。一説には、牛の脂(あぶら)と性質は同じだとも言われています。

 

じつは動物実験では、パーム油が異常に大腸の悪性腫瘍(しゅよう)を発生させることがわかっています。ラットにパーム油(パームオレイン)入りのエサを与えつづけると、腫瘍が異常にできやすくなるというのです*5

 

ただこれはあくまで実験用ラットのはなしであって、パーム油入りの食物を人間が食べ続けたときの影響がどうかというのはわかりません。

ですが不気味な報告ではあります。

 

 
胆汁の悪影響を予防するには

ちなみに出すぎた胆汁によって腸内環境のバランスを失ってしまったらどうしすればいいのでしょう?

 

ヒントはやはり「食生活の欧米化」というキーワードにあります。「食生活の欧米化」というのは肉を食べる量が増えたこと以外に野菜など食物繊維を食べる量が減ったということも意味しています

 

じつはこの食物繊維が大事なのです。食物繊維の多い食品をとると、胆汁の成分(胆汁酸)を吸着し、そのまま便として排出してくれます

 

食物繊維には水にとけるタイプ(水溶性)と、水に溶けないタイプがありますが、胆汁成分の排出にかんしては水溶性のほうが適しています。水溶性食物繊維はいろいろなものに含まれていますが、代表的なものは果物や野菜に含まれるペクチンです。リンゴや、レモンなどの柑橘系に含まれています。そのほかにも、けっこういろいろなものにふくまれています。

 

食物繊維が腸内環境をととのえてくれるということはさんざん言われています。その理由は主に食物繊維がいわゆる「善玉菌」のえさになって腸内フローラを改善するというもの。

ですが「胆汁酸を吸着して、腸(大腸)でわるさすることを防ぐ」という働きもあるのです。

ですから食物繊維は二重の意味でおなかを整えてくれることが期待されるのです。

 

 

 

ある面ではパーム油は優れた油

このようにパーム油の不安な面ばかりに注目してきましたが、じつはある意味ではパーム油は非常にすぐれた油でもあります

 

突然ですが、テレビなどで「〇〇にはポリフェノールがたくさん含まれています!」などとよく紹介されます。ではなぜポリフェノールが健康にいいのでしょうか?

 

それはポリフェノールがつよい抗酸化作用を持っているためです。抗酸化作用ーーつまり酸化を防ぐはたらきがある、ということですね。酸化とはひらたく言えばサビるということです

 

じつはパーム油は酸化の心配がひじょうに少ない油です。だからこそファーストフード店でポテトをフライするときに使っているのです。

 

たとえばインスタントラーメンを作るときにも油を使って麺をフライします。油はフライに使っているうちにだんだん傷んできます。どんどん油が酸化していくのです。

 

ふつう油は高い温度で加熱するほど酸化していきます。フライにする(油で揚げる)ということは特に高い温度で調理することになるので、酸化もすすみやすくなります。

 

ブームにもなったアマニ油やエゴマ油などは調理のさいに加熱してはいけないといわれますが、これも同じ理由からです。アマニ油・エゴマ油は化学的にもひじょうに安定しにくく、酸化しやすい特徴をもっています

 

パーム油もいくつかの油脂成分が混じり合ったものです。主な成分はパルミチン酸オレイン酸というもので、これらはどちらも加熱に強く、酸化しにくい特徴をもっています。

 

簡単に言えばパルミチン酸とオレイン酸には酸素が結びつくスキがないので、いくら熱を加えてもなかなか反応しません。

 

ですから酸化しやすいかどうかという点から見ればとても優秀なアブラです。

 

その点、魚の油とかエゴマ油・アマニ油とかの、いわゆる「オメガ3」とか呼ばれる系列はひじょうに酸化しやすい性格をもっています。

 

酸素とつながる余裕がいくつもあって、ちょっと刺激してやればすぐに酸素とくっついてしまう。そんな厄介さも持っているのです。

 

エゴマ油・アマニ油(荏胡麻油・亜麻仁油)は「加熱せず料理にそのままかけるのがよい」といわれるのはこれが理由です。

 

パーム油はそんな「安全」な一面を買われ、食品産業や外食産業で重宝されてきました。じっさい酸化した油は風味を損ないますし体にも有害です。

 

ただ繰り返しますが、パーム油は植物からとれる油ですが、かなり動物のあぶら(動物性油脂)に似ています。油脂成分の組成割合なんかを見ても、ラード(豚の背脂)やヘット(牛脂)とどこが違うのかな?という感じです。(それでも、「植物油脂」などの表現がされています)

 

もし信じられないという方は、パーム油と牛や豚の脂がどんな成分でできているか確認してみると面白いかもしれません。さらにほかの植物油と比べてみるといっそうよくわかると思います

 

動物性の油脂(あぶら)を食べすぎると、胆汁(たんじゅう)が出すぎます。そして少なくとも出すぎた胆汁は大腸でわるさをします。そのほか腸内細菌(いわゆる腸内フローラ)にも悪影響を与えると言われておりますし、いわゆる「腸もれ」「漏れる腸」にも影響があると言われております(リーキーガット症候群)

 

 パーム油を意識し、おなかの健康を取り戻す

実際のところ、ほとんどの人はチョコレートを食べようが、ポテトを食べようがなんともないことでしょう。そういったかたは別に神経質になることもないと思います

 

ですがお腹を壊しやすい人もいれば、年齢を重ねて「最近、カレーが重い…」と感じる人もいます。(筆者もその一人)

そんなときは「パーム油が入ってないか」に注目して食材を選んでみるのも一つの手かもしれません。


少なくとも筆者にかんしてはこれを意識するようになってから劇的におなかを壊すことが減りました。そして何を食べればおなかの調子が悪くなるか、かなり正確に予測することができるようになりました

 

正直言って、こんなことを書いても一銭の得にもならないのですが筆者と同じようなことで困っている人が一人でも助けになればと思い書きました。


もしもこの方法をやってみて「かなり調子がいいようだ!」「だいぶ変わった!」ということがあったら、嬉しいです。よかったらコメント下さい。(まったく効果なかった、というのでもけっこうですが…)

とにかくこんなことはマスコミでもどんなメディアを見ても「パーム油を食べたらおなか壊す人がいる」なんて言っている人は他にいません。また少なくともテレビで言えるようなことでもないはずです。

また医学的に何度も検証されエビデンスを積み重ねたものでもありません。どんな医学本にも書いていないかもしれません。ですがデータだけは確かなものに基づいています。


 ちなみに「アブラ」(油・脂)とおなかの関係についてはこのサイトで他にもいくつかの記事にまとめてあります。

食品関係から大クレームを受けるのは必至で、とてもテレビなどでは放送できないことも書いています(週刊誌とかなら書くかもしれませんが)

よかったらそちらも見てみてください。

ご覧いただき、ありがとうございました。

www.starrygarden.net


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*1:厳密には国内生産量と輸入量の合計。菜種油1075(単位:千トン)、パーム油708、大豆油480、オリーブ油57ごま油54、㈳日本植物油協会ホームページより

*2:ノンフライなどはのぞいて

*3:たとえば慶應義塾大の長谷耕二教授も『実験医学』(2018年11月号 Vol.36 No.18)において同様の指摘をしている

*4:大腸がんが増えた理由については、①肉食が増えたこと、②食物繊維の摂取量が減ったこと、の二つの理由が考えられています

*5:Narisawa Tら、Jpn J Cancer Res 1991;82: 1089