たばこをやめてほんとうに意味があったのか ~やめた後、健康を取り戻すまでにどれだけの時間がかかるのか?~
たばこをやめてからの2年間、ずっと気にかかっていたのは
「いまさらたばこをやめて、本当に意味があったんだろうか?」
ということでした
「いままで何十年も吸いつづけた影響は、どこかに残っているんじゃないか・・・」
ーーそんな疑問を、多くの元・スモーカーが感じていることでしょう
また多くのスモーカーたちは、どうでしょうか?一度はこんなふうに考えたことがあるのではないでしょうか?
「今さらやめたってもう手遅れではないか?」
「そうならやめたところでしょうがない…ええい、死ぬまで吸ってやれ」
そんなふうに思いながら私は長年吸い続けていました。
一方でこんなこともあります。
ある日、職場の先輩と話しているとイヤにせき込みながら話すのでたずねてみると風邪じゃあないという。「このあいだ病院でCOPDだって言、医者にはたばこやめろって言われたんだけどなぁ」と言って、しばらくすると喫煙所にいる。驚いたことにたばこをふかしながら仲間と談話しているではないか(!)。
あぁ、ああいうふうにはなりたくないなと思うわけです。
その後、私はたまたまあるきっかけがあってたばこをやめることになりました。自分の意志の力でやめたというよりはなりゆきも手伝って、というのが本当のところです
やめて良かったと思いますが、やはり体にはなんらかのダメージを残しているだろうなぁ…と気になってはいたのです
ところがこのあいだテレビでお医者さんが次のようなことを話していたのを聞いて、私はスッと気が楽になったのです。
・・・たばこを吸っていた人は禁煙を始めてから
20分経過すると・・・血圧が正常になります
8時間たつと・・・血液中の酸素濃度が正常になります
24時間後・・・心筋梗塞のリスクが減ります
48時間後・・・食事がおいしくなってきます(味覚と嗅覚が回復しはじめます)
2週間から3か月たつと・・・息がしやすくなってきます(循環機能が改善)
それと歩くのがラクになってきます
1か月から9か月たつと・・・せき・疲労・息切れが改善します
10年後・・・ 肺がんになるリスクが半分になります
15年後・・・肺がんになるリスクが、たばこを吸わない人と同じになります
・・・どうでしょうか?
たばこをやめて15年後にはすくなくとも肺がんのリスクにかんしては普通の人のレベルに戻るのです
世界保健機関(WHO)によれば、そのほかにも心臓の病気*2や脳卒中(のうそっちゅう)になる確率も15年以内にふつうの人と同じになります(WHO『たばこ使用者のための 禁煙ガイド』)
つまりたばこをやめるのに手遅れということはないということです。
もちろん、たばこの害はしばらく残っているに違いありません。ですが15年も経てば、かなり害は消えるということです。
ですが。
「わかっちゃあいるけど、やめられない」
ーーほとんどの人がそう思いながらも吸いつづけていることでしょう
たばこが体に悪いということぐらいだれもがわかっていることです。簡単にやめられるならとっくにやめているはずです
そんな多くの愛煙家が、からだのためにできることことがあります
たとえたばこをやめなくても、病気を予防する方法はあるのです
それはビタミンCをとるということです
◆たばこが体のビタミンⅭをうばう
ビタミンⅭを効果的にとることによってたばこの害を減らすことができると医学的に考えられています
なぜでしょうか?
たばこはからだの中で活性酸素を生みだしている
まずたばこを吸うとカラダの中に活性酸素(かっせいさんそ)が発生します。体の中でさまざまな悪さをし、病気をひき起こしたり老化の原因にもなっているといわれている、アレです。
活性酸素が作り出されると、それを処理するために体の中でビタミンCが大量に消費されます。
活性酸素を消すためにはビタミンⅭが必要なのですが、それがたばこを吸うことでたくさん使われることによって、体内でビタミンⅭが足りない状態になるのです。
すると活性酸素を処理する道具(=ビタミンⅭ)が足りなくなるので、からだの中の活性酸素は増えつづけていきます
体内でふえた活性酸素は、からだを老化させます。そしてがんなどの病気になりやすくなる、というわけです。
ですから逆に言えば喫煙で失われたビタミンCをおぎなってやることによって、老化を予防し病気を予防できる、ということも言えるのです
◆レモン果汁よりブロッコリー
では、失われたビタミンⅭを効果的に補充できる食べものとはなんでしょう?
たしかにレモンやいちごといったフルーツにはビタミンⅭが豊富に含まれています。ですがレモンをまるかじりするのは、根性がいりますし、毎日買うものとしてはイチゴは割高です
じつはビタミンⅭをたくさん含んでいるのはフルーツだけではありません。身近な野菜の中でもっとも多いのがブロッコリーです。
ゆでたブロッコリー100グラムの中に含まれるビタミンcは54mg、レモンのしぼり汁では50mgでブロッコリーに軍配があがります(以下すべて100g中に含まれる成分の量を示しています)
たしかにレモンを皮ごとぜんぶ食べるのであれば100mgでレモンの勝ちです。ですが現実にはそんなことをするのは妊婦さんぐらいでしょうから(妊婦さんは異常にすっぱいものを食べたがる)、レモンよりもブロッコリーの方がビタミンⅭが多い、ということです
ちなみにブロッコリーに含まれるビタミンⅭはゆでるあいだに相当失われています。これはビタミンⅭが、水に溶けやすいからです。生のブロッコリーに含まれるビタミンⅭの量は120mg。レモンを皮ごと食べる以上の量が含まれているのです
ブロッコリーはビタミンⅭ補給の優等生
◆キウイやイチゴよりも柿の方が多いばあいも
そのほか果物で多いのはキウイです
以前はキウイフルーツといえば緑色でしたが、最近ではスーパーでも中身が黄色のものがたくさん売られています
栄養的にはどうなのでしょうか?
ビタミンCにかんして言えば、黄色い方が圧倒的に多く含んでいます
(黄色:140mg 緑色:69mg、100グラム中)
ただそうは言っても昔からある緑のキウイフルーツにも69mgという量が入っています。この69mgという数字は、食材にふくまれるビタミンⅭの量としては立派な数字です。キウイフルーツにビタミンⅭが多いと昔から言いますが、それは本当なのです。
現実的にはレモンをがりがりかじるというのは、よほどの根性がないと無理です(うちの奥さんは妊娠中、狂ったようにレモンにかぶりついていましたが)。ですから経済的な面を考えてもキウイはビタミンCをとるのに最適なフルーツの一つだと言えます
このほかに意外にビタミンⅭの多いフルーツは柿(かき)です
たとえばイチゴにビタミンⅭが多いのは有名ですが、甘柿はイチゴよりも豊富にビタミンⅭを含んでいます。(いちご62に対し甘がき70)
柿には甘がきと渋がきとあり、渋がきは甘がきに比べると少し見おとりしますがそれでもレモン果汁よりたくさん含んでいるのです(渋がき55に対しレモン果汁50)
ですから今でも住宅街を歩いていると自宅の敷地に柿の木を植えているのを見かけることがありますが、そういった意味ではひじょうに理にかなっています。知らずしらずのうちに、冬に備えてビタミンⅭをとることになるからです
ちなみに「渋がき」というのは木からもいでガリっとかじると渋くて食えない柿のことです。甘がきの代表的な品種としては富有柿、次郎柿などがあります
このように、身近な食材にも意外にビタミンⅭが豊富に含まれており、これらを食べることで、失われたビタミンⅭをかんたんに補給することができます
◆食べ方によっては無駄になるケースも
ところでビタミンⅭのとり方にはじつはコツがあります
まず一度にいくら多くとったとしてもムダです
一定以上の量のビタミンⅭは尿として体の外に出ていってしまいます。体の中に貯めておくことはできません。
ですから一日の中でもこまめにビタミンⅭをとる、ということを医師も推奨しています。ここがビタミンⅭをとる際のポイントです
たとえば冷蔵庫の中にブロッコリーとキウイフルーツ、そしてミニトマト(32㎎)が入っていたとします。これを晩ご飯にイッキに食べてもいいのですが、どうせなら朝・昼・晩と分けて食べるというのも一つの手です。
たとえば朝ごはんにパンを食べた後にキウイフルーツを食べて出かけ、お昼は弁当にミニトマトを入れておき、夜はハンバーグの横にブロッコリーをのせる。
忙しい毎日の中でも、こんなふうにバランスよくビタミンⅭをとることができたなら暮らしにもいろどりが加わるうえに、たばこの害を防ぐこともできるのです
ちなみに1日にどれほどのビタミンⅭをとったらいいのでしょうか?
厚生労働省は一日にとる目安の量として100㎎という数値をしめしています。ですからふつうであればこの100mgという量を一日に何度かに分けてとればいいということになります
この100㎎という量は、黄色のキウイフルーツや柿なら一個食べればクリアできる数値です
ただ、この100㎎という量は喫煙者かどうかを区別して出されたものではありません。あくまで「日本人の摂取基準」ということで日本の保健省(厚生労働省)が出したもので、ざっくりしたものです
たばこを吸う人であればさらにビタミンⅭを消費するので、少なくともそれ以上をとる必要があるということになります。
◆それでも気になるたばこと寿命の関係
このように、たばこを吸いながら健康上のリスクをさげる努力をすることは可能なことです。じっさい、愛煙家でも長生きする人はおり、じっさいに私の祖父も90歳で亡くなる直前までたばこを手ばなすことはありませんでした。
ただ、もしたばこをやめるのであれば早い方が得だ、とも言えます
一番わかりやすいのは寿命です
WHO(世界保健機関)によれば、30歳でたばこをやめた人は寿命が10年のび、40歳でやめた人は9年、50歳なら6年、60歳なら3年です(『たばこ使用者のための禁煙ガイド』)
早くやめた人ほど寿命をたくさん延ばせる、ということです
ですからやはりたばこをやめるのには意味があります。
それは早いほどいいのですが、たとえ何歳になっても遅すぎるということはないのです
またたばこは嗜好品であり人生の楽しみだという考えもあります。ビタミンⅭをこまめにとるなど対策を打つことで害を減らし、より健康に、若くそして美しく生きていくこともできるのです
*1:NHKきょうの健康・2018年9月放送の中で、国立がん研究センター・坪井正博氏が紹介した資料です
*2:冠動脈性疾患
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