シンカリオン・ハヤトの言いたかったこと2 ~鉄路にたずさわってきた、すべての人たちへ~
ところで、「シンカリオン」は子供むけの変形ロボ・アニメでありながらも、制作にはJR社と連携しているという
それだけに思いのほかリアルな面もあり、鉄道関係者を泣かせているのではないだろうか
たとえばシリーズがはじまる一番最初のシーンで登場する人物は、主人公でも運転士でもない
保線職員だ
「保線」といわれてすぐにピンとくる人は鉄道通だ
ふだんの生活で耳にすることはない、専門用語というのか
線路の工事をする人々のことだ
当然のことながら、新幹線も電車も線路がなくては1ミリも走ることはできない
この線路を日々、ミリ単位で調整しなければ電車は簡単に脱線してしまう
(これは「プラレール」などで少し変化のあるレールを組んでみると実感できる)
線路のほかに架線に数万ボルトという電気が走っていなければ、電車が走る動力源がないし、(架線〈かせん〉:線路の上を伝っている電線のこと)
雪が積もれば、専用のラッセル車で除雪しなければ電車は走れない
こういった仕事を昼夜なく、365日行っているのが鉄道会社の「保線」という区分だ
ふだん電車に乗っていてもなかなか目にすることもなく、保線の職員に接する機会もまずない
たとえ自分の親が保線区の職員であっても、まずない
鉄道の運行のために、夜も昼もなく人生をささげている人たちがいる
そんな彼らが仕事をしているシーンから「シンカリオン」第一話は始まる
ーー新幹線の高架に並走する線路の上で、濃紺の制服を着た職員が作業にあたっている
夜空には星がきらめいている
すると遠くから電車の音が聞こえる
「あれ・・・なんか聞こえませんか?」
若い社員が手をとめたと思うと、すぐ頭上を通る高架の上を新幹線車両が通過した轟音(ごうおん)が鳴りひびく
「こんな時間に通過する列車なんて?」
「ドクターイエローだって走らないぞ・・・」
「今のはいったい・・・」
ふだん決して表に出ることもない
運転士でも駅員さんでもない
「線路の維持管理」という、なかなか想像するのも難い職業
みんなが寝静まった真夜中、今日も彼らは働いている
・・・そんな場面から、物語はじまっている
ーー土曜の朝から話はそれたが保線区の職員とおなじく、ふだんは我々の目に触れることのない人々がいる
車両の整備にあたる人々だ
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