「正しい風呂の入り方」と「正しい金魚の飼い方」③~塩素は肌のうるおいをうばうか~
では日本の水道水はそれほどまで危険なのでしょうか?
飲む分にはだいじょうぶだが、風呂に使う分には注意が必要だ ということが言えるでしょう
前にもふれたとおり水道の水には 「これぐらいは最低でも塩素(えんそ)が必要だよ」 ということが決まっています*1
これは政令でさだめられたものであるため、この条件を満たさなければ水道局などは営業することができません
また反対に「これぐらいまでなら入っていてもだいじょうぶだ」という限度もあります
あまり入れすぎたらカラダによくないからです
これについては健康にかんする国際機関であるWHOが目安を示しています*2
そして日本の水道はこの国際的な目安をおおきく下回っています
一生飲みつづけても健康には害がないということを意味します
またあまり塩素を入れすぎると「カルキくさい」「まずい」ということになりかねないので、それぞれの水道局で「市民のみなさんにおいしい水をお届けしよう」と、可能なかぎり少ない量の塩素ですむように、という努力がなされています
逆に、もし水道の水にまったく塩素が入っていなかったらどうなるでしょうか?
清潔な飲み水を手に入れられなかった江戸時代や明治時代にはコレラやチフスといった伝染病がなんども流行しました
そしてそのたびに数万~数十万という数の人が命をおとした、ということがあります
そういった歴史をふまえて、「水道の水は消毒しよう」ということに今はなっているわけです
「消毒されていない水を飲むのは危険だ」というわけです
ただしこれは飲み水としてはどうかということであって、風呂のお湯としてどうかということになると話はまたべつです
風呂のお湯によって肌がダメージを受けるということは医師らによって何度も確認されています
たとえばこんな例があります
ある医者さんが大学病院の皮膚科ではたらいていました
彼はアトピーで苦しむ患者さんを長年診察していましたが、そのうちあることに気づきました
それは"水泳教室に通いだすと症状が悪化する患者さんがいる"ということです
「消毒のためにプールの水には塩素が入れられているが、アトピーを悪化させている犯人は、この塩素なのではないか・・・?」
そう考えたお医者さんは風呂のお湯の中に含まれる塩素の濃度と、肌のうるおいとの関係をしらべました
お風呂のお湯がお肌にどのように影響するかという実験です
するとあんのじょうの結果が出ました
塩素を含まない水(浄水)をつかったお風呂に入った場合に比べて、塩素を含んだお湯で入れた風呂に入った方がお肌のうるおいが奪われるという結果が出たのです
さらに塩素の量が多ければ多いほど、うるおいはうばわれてしまうことも確認されました
このことを調べたのは、関太輔先生らのグループです
関先生は2009年からは富山大学の医学部で教授をされています
彼によれば風呂のお湯に含まれる塩素の量が、あるラインをこえると肌のバリア機能が低下するうえにお肌のうるおいも失われます
本来、健康なお肌には表面で異物をはね返す仕組みがそなわっています
アレルギーの原因になる物質であったり、微生物であったり、肌は日ごろからさまざまなリスクにさらされています
これらをさえぎるバリアとしての機能が肌にはたらいているのです
しかし塩素を含むお湯にさらされると、肌はこのバリア機能を失っていきます
外からの刺激を受けやすい肌に変化していくのです
このような状態の肌はドライスキンと呼ばれ、アレルギー物質や微生物といった異物の侵入をゆるしてしまいます
さらにそこに塩素も入ってきます
こうしてさまざまな形で肌のトラブルが起きる下地を作っていく…というわけです
そしてそこにまた塩素の含まれるお風呂に入るなどすれば、さらに肌トラブルが悪化していく…という悪循環(あくじゅんかん)が起こります
これらのことをふまえると健康な肌の人であっても、肌のかゆみなど皮膚に異常を感じるばあいは「なんらかの対策を実施すること」をおすすめします、と関先生は言っています
(肌が敏感な方はなおさら)
では私たちはこの水道水というありふれたものにどんな対策をとればいいのでしょうか?
私たちの生活を支えている水道の水の中に肌をいためるものが含まれているのだとしたら、それは困ったことです
さて、この塩素(残留塩素)にたいして手だてはあるのでしょうか?
もちろんあります
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