おなかが弱い自分がヨーグルトを食べるわけ(3)
これまで
牛乳を飲んでおなかがゆるくなる原因が牛乳に含まれる「乳糖」にあること
そして
成長するにしたがってこれを分解する力が失われていく
ということをお話してきました
ところで
買ってきたヨーグルトを開封して、翌朝またフタをあけたら透明なうわずみが生じていた
という経験をされたことがあるというかたも多いかと思います
これは「乳清」(にゅうせい)と呼ばれる液体で、牛乳から分離したものです
ヨーグルトに含まれる乳酸菌のはたらきによって牛乳はこの「乳清」とヨーグルトに分かれていきます
この「乳清」は悪いものではなくむしろさまざまなミネラルが含まれていることで美容の面からも注目されているようです
しかし、ここで注意しなくてはならないのは
この「乳清」のなかに例の「乳糖」くんが含まれている
ということです
わたしがこの透明なうわずみの存在に初めて気がついたのはひとり暮らしを始めた大学生のころでした
当時の私はうわずみが生じていることを少し不審に思ったぐらいで
「まあだいじょうぶだろう」
と、そのままスプーンでぐるぐるかきまぜて食べていました。
その後なにかでこれが「乳清」と呼ばれるものだと知り
「清」という字が入っていることもあって
「ああ、なにか清らかなきれいなものなんだな」
「牛乳のエッセンスが含まれているいいものらしい」
というていどの感覚で液体だけを飲んでみたこともあります
じっさい、「乳清」にはさまざまな栄養が含まれているのです
しかし今にしてみればなんという恐ろしいことをしていたかと思います
前に
「あかちゃんは乳糖を分解できるので、牛乳を飲んでもおなかをこわさない」
と書きましたが、あかちゃんですら何らかの理由でこの「乳糖」(にゅうとう)を分解するはたらきが弱くなって下痢をすることもあります
つまり(たいへん可愛そうな話ですが)母乳やミルクで赤ちゃんが下痢をすることもある、ということです
ちなみにこの牛乳を消化できない状態のことを「乳糖不耐症」などと呼ばれているようです
(個人的には、牛乳が飲めないぐらいで病気あつかいしないでくれ、という気分ですが・・赤ちゃんだったらたいへんなことです!)
ですが、ここまでのことがわかっていれば対処のしかたはカンタンなのです
そして私が初めにお伝えしたこと
「賞味期限の近いものを選ぶ」
と言った意味も理解されるのではないでしょうか
乳酸菌のはたらきによって発酵(はっこう)がすすみ、ヨーグルトから乳清が分かれていくのですから、
乳清は捨ててヨーグルトだけ食べればいい
のではないでしょうか?
ちなみに同じく乳製品であるにもかかわらず
「牛乳やヨーグルトを食べる自信はないけれどなぜかチーズなら平気だ」
というかたもけっこういると思います(私もそうです)
チーズはできあがるまでにかなり乳清がわかれてしまっているので、そこに乳糖が持っていかれています
かなりはっきりと
チーズ/乳清
と分かれているのです
牛乳には甘みを感じることがありますがチーズを食べて甘いと感じることはあまりありません
甘み成分である乳糖が減っているから不思議はありません
ヨーグルトも日がたつにつれてだんだん甘みが抜けていって最後にはもったりとした、濃厚なクリームチーズのような味わいになっていきます
ちなみに筆者はこの味わいの変化が好きでたのしんでいます
そして安心してヨーグルトを楽しめるというわけです
ただしもちろん生ものですので期限を過ぎてから、また期限以内であっても開封後はいつでも雑菌が繁殖する可能性があります
ですから油断は禁物です
ちなみに筆者は次のようしてヨーグルトを食べています
①開封したら、最初は少量を食べる
②次の日うわずみを捨ててからまた食べる
③またうわずみが出ているのでまた捨ててから食べる
・・・以降くりかえします
どんどん平気なヨーグルトになっていきます
「①最初は少量食べる」とありますが
開封したばかりのころのヨーグルトはまだあまりうわずみ(乳清)がでてきていないので自分のおなかがこなしきれる(消化しきれる)ぶんだけ食べる
という意味です
じつは「自分は牛乳はダメだ」
と思っている人でも
ちょっとだったら平気だったりします
これは大人になって牛乳を消化する力が弱まってはいるものの
まったくその力がなくなっているわけではない
からだと考えられます
ですので乳糖がそのまま含まれている牛乳であっても少量であれば平気だ、
ということは十分考えられますし筆者も適量であれば牛乳を飲んでも全然平気です
これは少しずつ試してみる価値はあると思います
ちなみに
ヨーグルトを食べるたびにうわずみ液を捨てていく
というやり方ですが、
じゃあいつまでこのヨーグルトは平気なのだろう?
という疑問が湧いてくるでしょう
一つの目安は、
開封してから2~3日
です
これはメーカーが「フタをあけてからは、このぐらいの期間で食べきってくださいね」という期限です(雪印メグミルク)
しかし特に私たちのように、イッキに大量にヨーグルトを食べるのは心配だ…という人にとって、
400グラムもあるヨーグルトを三日ないし二日以内に食べきってください
というたのみは酷(コク)なことでもあります
あくまで筆者の印象ではありますが、たとえ2~3日を過ぎたとしても保存(管理)さえしっかりしていれば別に食べても平気です
そもそもヨーグルトのパッケージに表示されている期限は
「消費期限」
ではなく
「賞味期限」
です
平たく言えば
「味や風味を気にしなければ多少期限を過ぎても食っても平気」
というのが「賞味期限」ですので、そもそもヨーグルトとはそういう性質のものなのでしょう
(あくまでも雑菌が増えなければ、の話ですが)
どんどんうわずみと固形分とに分かれてヨーグルトが「ヨーグルトとは呼べない物体」に変わっていくわけなので、ヨーグルトとしてはもうまちがいなく賞味期限切れなわけです
しかし「別にそれでもいい」とか
あるいは筆者のように「むしろその方が好き」
という人にとっては問題ないということです
(参考までに)筆者の性格は
「石橋を叩いて結局渡らない」
ぐらい慎重で、食品にかんしていえば昔はちょっとでも期限が過ぎるとすっぱりと処分していました(ただしほんとうはとてもケチ)
筆者がヨーグルトを保管するうえで注意を払っていることは
①フタを開けっぱなしにしない
②冷蔵庫の一番冷える場所に置く
この二つです
①の「フタを開けっぱなしにしない」これは雑菌の侵入をふせぐためです
中身をすくったらすぐにしめて冷蔵庫にもどします
②の「一番冷える場所に置く」これは雑菌が増えることを防ぐため
冷たい場所の方が雑菌の活動もおさえられます
では
冷蔵庫で一番冷たい場所はどこか?
この見分け方はカンタンです
豆腐を入れていて凍るところが一番冷える場所です
冷たい空気は下にたまるので、だいたいいちばん下段であることが多いようです
(ただし野菜室はのぞく)
いまのところこれで腹をこわしたということはありません
(買ったばかりのヨーグルトを食い過ぎて腹をこわしたことは何度もありますが)
以上の方法を試してみることで、ふつうに買ってきてすぐに食べるのとは格段にちがったヨーグルト体験ができることでしょう
ただし期限が過ぎてからのヨーグルトの取り扱いは過信は禁物ですし、以上は筆者が自らの責任でやっていることです(むやみに期限切れのものをおすすめしているわけではありませんのでご注意ください)
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