仙台で『いぎなり』は『急に』じゃない!
仙台に暮らしてはや十数年、同じ東北出身にもかかわらず「?」となる仙台弁(もしくは宮城の方言)はいまだに多々ありますが中でも一番「?」だった言葉といえば「いぎなり」(いきなり)でしょう。
なんで「いきなり」が「?」なんでしょうか。「いきなりはいきなりでしょう」という声が聞こえてきそうです(仙台の人からも、そうでない人からも)。
ふつう、「いきなり」と言ったら「急に」「突然」という意味です。ここで「それだけじゃないよ」というのは宮城県の人です(^_^)。
わたしがこのことに気づいたのは仙台で暮らすようになってだいぶたってからでした。
ある日、職場で同僚のおばちゃんに、こんなグチを聞かされました。
「お客さんにいぎなり怒らった~(怒られた)」
このとき私は(ああ、お客さんが急に怒ったのか)ぐらいにしか考えませんでした。(ただどうしてお客さんが急に怒ったのかということについてわからず、なんか不自然だなぁ…?という感覚はありました)
しかしおばちゃんはいくら話しても気が済むようすもなく「いぎなり怒らった」を連発。話をよく聞いていくうちにわかったのは、どうやら怒られたのは私の連絡不足のせいだったということ、逆にいっこうにわからないのはお客さんが急に怒った理由でした。
最終的に私が連絡ミスについてわびたところでやっと彼女は納得したのですが、かわりに「急に」怒った理由はわからず・・・
実は「いぎなり」というのは「非常に」「すごーく」という意味の、それも最上級のことばだったのです。
こう考えると全てつじつまが合います。
課長が言っていた「今日はいぎなり暑い」
おばちゃんが言っていた「いぎなりさむいー!」
「いぎなりんめー(おいしい)」
・・・エトセトラ エトセトラ
そりゃおばちゃんも気が済まないですよね
だって彼女は
「あんたがちゃんと仕事しないおかげであたしがめっちゃくちゃお客さんに怒られたんだかんね」
と訴えているのに、聞いてる本人は
「へー、(なんで急におこったんだろ?)」
ぐらいにしか思ってないんですから。
いま思い返しても、なんという「?」な話でしょうか。
(ちなみにこういうのをこの辺では「あっぺとっぺ」と言いますが、これも地域限定の言葉です)
逆に仙台あるいは宮城のかたがたは、この「いきなり」の使い方が地域限定のものだなんて夢にも思っていないようですし(私の妻もそう)、ましてよそから来た人はこんな意味があるなんて(たとえ私のような同じ東北出身の人でも)わかりません。
ですから、仙台・宮城の人は他県に行って「いきなり怒られました」と言っても同僚の人には「ふうん、(それで?)」ぐらいの反応しか返ってこなくて悲しい思いをすることもあるかもしれませんが、そのとき間違いなく相手はこう思っています。
急に怒られたんだ(・・・なんで急に?)
よく「冷たくされた…」「わかってもらえなかった・・・」なんてことありますけど、案外こういう場合もあるのかもしれませんね。
ではまた。
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